Mac・Windows・Linux用の音声入力アプリ
パソコンの音声入力アプリは、いま開いているウィンドウの中で話し言葉を文字にします。メール、書類、チャット、コードレビュー。キーを押しながら話し、離すと、カーソルのある場所に整った文章が現れます。このページでは、その仕事を上手にこなすツールと、その前に試しておきたい無料の標準機能を比べます。
まずは標準機能から
WindowsにはWin + Hのシステム音声入力があり、macOSにはキーボード設定に音声入力が組み込まれています。どちらも無料で、短い入力なら十分に使えます。スマートフォンのキーボードと同じく、聞こえたとおりに文字にする方式です。言葉は手に入りますが、読点や句点の置き方と言い直しの整理は自分の仕事のままで、長く話し続けると認識が崩れていきます。ときどき使うだけなら、これで足りてしまうかもしれません。下に挙げる有料ツールが効いてくるのは、音声入力が毎日の執筆の一部になったときです。
Wispr Flow:いちばん洗練された定番
Wispr Flowは、現時点でもっとも名前の知られた音声入力アプリです。MacとWindowsで動き(iPhoneとAndroidのアプリもあります)、100以上の言語を自動判別で扱い、「えーと」のような言いよどみを取り除き、句読点を正しく打ち、あなたが使う固有名詞や専門用語を覚えます。出てくるのは文字起こしではなく、自分で打ったような文章です。日本語でも使えますが、英語以外の精度はまだ英語ほどではない、とメーカー自身が書いている点は差し引いて考えてください。無料プランは週2,000語まで、無制限に使うにはProの月額契約が必要です。毎日話して書くなら、比較はここから始めるのが早道です。
Voicy:Linuxに対応する唯一の選択肢
VoicyはWindows、Mac、そしてこの分野では珍しくLinuxをカバーし、Chrome拡張機能とモバイルアプリも用意しています。50以上の言語に対応し、句読点を自動で入れ、カーソルのある場所に文字を打ち込む方式なので20,000以上のアプリで動くとうたっています。料金は月額制(年払いで月8.5ドル前後)か買い切りの永久ライセンスで、30分の無料お試しが付きます。Linuxで仕事をしているなら、事実上このカテゴリそのものです。
Voibe:押して話すだけの手軽さ
Voibeは仕組みを最小限にとどめています。キーを押し、話し、離すと文字が出る。Mac(Apple Siliconではオフラインモードも)とWindows(クラウドのみ)で動き、ユーザー辞書と、記号を声で入れるオプションを備えています。料金は永久ライセンス派にやさしく、月額、年額、買い切りの三択です。音声入力をプラットフォームではなく単純な道具として使いたい人に向いています。
VoiceInk:ローカル処理で秘密を守る、Mac専用
VoiceInkはプライバシー優先の道を選んでいます。AIモデルをあなたのMacの中で動かすので、音声が端末から出る必要がなく、オフラインでも使えます。必要なのはApple SiliconのMacで、料金は買い切り(台数に応じて29〜69ドル)、月額契約はありません。認識精度は大きなクラウドエンジンではなく手元のモデル次第です。日本語で使うならモデル選びが要点で、Whisper系かSenseVoice Smallを選びます。同梱のParakeetは欧州25言語向けで日本語は含まれていません。すべてを端末内で完結させるための、正直な代償です。
選び方
毎日、複数の言語で話して書く? Wispr Flow。Linuxを使う? Voicy。月額契約が嫌い? VoibeかVoiceInkの買い切りライセンス。他人に見せられない内容を扱う? 音声を一切端末の外に出さずに済むのは、VoiceInkのオフラインモードだけです。
よくある質問
パソコンの音声入力は、本当にキーボードより速いのですか?
多くの人にとっては速くなります。自然な話し言葉は1分あたり130〜150語で、平均的なタイピングの2〜3倍にあたります(日本語でも、話す速さと打つ速さの差はほぼ同じ比率です)。落とし穴は編集の時間です。文字起こしと同時に句読点を打って整えてくれるツールならこの差はそのまま残りますが、聞こえたままを出すだけのツールは、後始末で差の一部を返してしまいます。
これらのアプリはどのソフトでも使えますか?
はい、それがこのカテゴリの存在理由です。システムの階層で、いま入力中のテキスト欄に文字を打ち込むので、メール、ブラウザ、書類、チャット、開発環境のどれでも、ソフトごとの拡張機能なしに動きます。日本語入力については、変換の必要な文章がそのまま確定した状態で入る点が、かな漢字変換を挟む通常のキーボード入力との大きな違いです。